Q&A吃音について

Q. 三歳の娘の事です。「吃音」がひどくなってきました。最初の言葉がなかなか出てこないようで心配です。最近、下の子が生まれたのでストレスからなのでしょうか。(31歳、女性)


A. 吃音は誰にでもあります
結論を先に申しますと「下の子が生まれた」のがストレスなのではなくて、下の子が生まれてオムツ交換や授乳などで忙しくなり、大人がゆっくり自分の相手をしてくれないために早く話をしようと焦って吃音が出るのだと思います。また、大人がイライラしたり仲が悪かったりする場合も、子供に影響があります。

 ほとんどのお子さんが大なり小なり吃音が出る事は有りますが、いずれ治ってきますし言語発達や知能にも影響しませんので心配はありません。 早く治すポイントは、1. せかさないで、ゆっくり話し終わるまで聞いてあげる事 2. 娘さんと話をする時には、手を握ってあげて気持ちをリラックスさせる事 3. 吃音を注意したり、言い直しをしたりして治そうとしない事 4. スキンシップを大切にして、下の子が眠っている時などに娘さんと一対一で遊んであげる事 5.「お姉さんなんだから」と言って我慢をさせ続けたり、無理をかけない事などです。

三歳児は地球の大発見者
 三歳くらいになると生活空間がどんどん広がってきて、毎日が驚きと新発見の連続です。大人にとっては当たり前の事でも三歳児にとっては見る事、聞く事、触る事全てが新鮮で、そういった興奮、嬉しい気持ちを大人に話して、気持ちを共有したくなるものです。
 一方、言葉の発達の面からは、単語を二つか三つ使った文(三語文)しか話せませんから、勢い、早くしゃべろうと気ばかり焦って第1音が出なくなってしまいます。大人が「え?」「何だって?」などと聞き返したりしないで、「そう!」「すごいね!」などと相づちを打ってあげる事も、子供さんが安心して話せるようになって吃音が治るきっかけになります。また、ゆっくりしたリズムの童謡などを一緒に歌ってあげると、一音を長く発声できる練習にもなります。
 滅多に無い事ですが、吃音と一緒に口をすぼめたり、目をパチパチさせたり、首や肩をひねったり物事に興味を持たなくなったりする場合は専門医を受診してください。本院の発達神経外来でも予約を受け付けております。
  (愛媛新聞accrete(アクリート)原稿から一部改変 )