◆ 感染症情報 2012年 ◆
7月 8月 9月 10月 11月 12月
1月 2月 3月 4月 5月 6月
12月 ノロウィルスによる感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)が急速に拡大しています。家族内感染やクラス内感染なども多く、感染力が強いので隔離と早期の治療が必要です。RSウィルスやマイコプラズマ感染が記録的に増加しています。どちらも経過が長く、気管支肺炎を引き起こしやすいので要注意です。特に0歳でRSやマイコプラズマ肺炎にかかると、後に喘息になりやすいと考えられており、早期の治療が大切です。けいれんを起こされる方も増加しています。
11月 RSウィルス感染が記録的に流行中です。乳幼児では嘔吐する程の呼吸困難を伴った咳が長引いて気管支炎や肺炎を起こしやすく、入院する方も多数おられます。感染力も強く、保育園で同じクラスだけ流行したり、家族内感染も多いので厳重注意が必要です。咳が長引く原因として、マイコプラズマ肺炎も多発しています。マイコプラズマの場合は、熱や咳が続いても全身状態は比較的良いので、つい学校や幼稚園等にいって他の人にうつしたりします。
10月 感染症は一般的にそれほど多くはありません。ただ、報道でも取り上げられていますが、RSウィルス感染症が乳幼児を中心として多発しています。気管支炎や肺炎の合併が多く、乳幼児では重症化して感染力も強いので厳重な注意が必要です。溶連菌感染やムンプス(おたふく風邪)、水痘(みずぼうそう)も散発しています。ワクチンがある場合には早めに接種しておきたいものです。インフルエンザワクチンも間もなく始まります。
9月 朝夕の涼しさに、やっと秋の訪れを感じるようになりました。感染症は全般的に少なめですが、溶連菌感染や水痘(水ぼうそう)が散見されます。日較差が大きくなり、夜間の気温が低くなると喘息発作を引き起こしやすくなります。イネ科のアレルギーがある方も鼻症状や咳が出たりしやすいので、早めに治療するようにしましょう。9月から不活化ポリオワクチンが定期接種になり、適応年齢の方は自治体からの補助で無料で小児科で受けられるようになりました。
8月 高熱が続いて気管支肺炎を併発する方が目立ちます。アデノウィルスやエコーウィルス、コクサッキーウィルスを始め多彩なウィルスが検出されており、例年よりも感染症が多い傾向にあります。あせもや日光皮膚炎、アトピーに混ざって、とびひや水痘(水ぼうそう)も散見されます。溶連菌感染症や流行性耳下腺(おたふく風邪)も散発しています。熱中症が各地で報告されており、長時間の屋外での活動には注意しましょう。
7月 北海道で30度を超えたり米国での異常高温による死亡例などが報道されています。熱中症には厳重な注意が必要です。室内にいても熱中症になりますから、気温と水分補給に留意しましょう。感染症は全般的に多くはないですが、ヘルパンギーナを始めとする咽頭炎が目立ちます。39度前後の発熱があって、熱性けいれんを起こす方も見られます。2回以上熱性けいれんを起こす方は、脳波検査を受けるようにしましょう。
6月 急に高熱が出る咽頭炎が増えてきました。ヘルパンギーナや溶連菌感染に加えてB型インフルエンザも検出されています。RSウィルス陰性の細気管支炎が多発しています。乳幼児を中心に呼吸困難を伴った咳が長引きますので注意が必要です。腹痛と下痢のために来院され、検査で血便を認めて点滴を続けている方もおられます。気温が高いので食品管理(早めに冷蔵庫に保管、生ものは控える)には注意しましょう。日差しが強いので日焼け、脱水にも気をつけましょう。
5月 春が過ぎると、急速に日差しが強くなってきました。気候の変動が激しく、ウィルスや細菌感染の様子も以前とは趣が違ってきています。4月に引き続いて高熱の患者さんが目立ちます。感染性胃腸炎ではロタAウィルスが8割くらいを占めるようになってきました。症状も以前と比べて重症の方が目立ちます。紫外線が強いために日光皮膚炎や接触性皮膚炎、あせも、とびひ等の皮膚疾患が増加傾向にあります。皮膚の弱い方は帽子や長袖着用なども有効です。
4月 3月下旬から、高熱が続いたり咳の強い上気道炎が多発しています。B型インフルエンザやRSウィルス、マイコプラズマが原因で入院される方もいますが、それ以外の病因もあるようで、現在検査中です。感染性胃腸炎では今なおノロウィルスが多いですがロタAウィルスが増加傾向にあります。下痢や嘔吐が続きますので要注意です。流行性耳下腺炎(おたふく風邪)が一部の園や小学校で流行しています。未接種のワクチンは早めに小児科で受けておくようにしましょう。保護者が正当な理由がなくワクチンを受けさせないのは虐待と見なされても仕方ありません。
3月 花粉症の患者さんが目立つようになってきました。花粉症の方には風の強い日の外出時の帽子やマスクの着用が勧められます。インフルエンザは一時期よりは減少気味ですがA型やB型が発生しています。インフルエンザで気管支炎を合併したり、けいれんが見られる方もいます。マイコプラズマ肺炎やRSウィルスによる気管支肺炎で入院される方が目立ちます。保護者の喫煙で咳が増強しますから、子供さんのためにも禁煙しましょう。感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)ではノロウィルスが多数を占めていますが、ロタAウィルスも少数検出されています。
2月 1月下旬から急速にインフルエンザが流行しています。A香港(H3N2)が主体ですがA(H1N1)やB型も少数見られます。A型のうち、けいれんを起こしたり、腸炎を合併される方もおり、2009年に流行したAH1pdm09の恐れもあります。できるだけ人ごみへ出かけるのをさけて、手洗いうがいを励行して流行に気をつけましょう。抗インフルエンザ剤により見た目に解熱しても感染力はありますから、感染してから少なくとも5日間は集団生活を避けるべきでしょう。RSウイルスによる気管支(肺)炎も多発しています。ノロウィルス感染も多く、厳重注意が必要です。
1月 激動の2011年も終わり2012年が良い年になるよう切望されます。12月下旬からA型インフルエンザが増加傾向にあります。感染力が強いので手洗い、うがいを励行し、規則的な生活と食事に注意しましょう。ワクチン未接種の場合、乳幼児では今からでも受けておく方が良いでしょう。12月に手足口病の複数の患者さんからコクサッキーウィルスA16が検出されています。感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)からはノロウィルスとロタウィルスが検出されています。サルモネラの家族内感染も見られました。気候変動のためか、感染症も季節変動が目立ちます。