育児メモ(II)

成長と発達について
 赤ちゃん、どんなことができますか
生後9カ月頃になると、それまでの身長や体重の伸びは一段落して赤ちゃんの内面がどんどん発達して、いろんな事ができるようになります。はいはいや歩いたりしての移動運動、哺乳びんやスプーンを持って使おうとする器用さ、周りの雰囲気に合わせて態度を変えたりおしゃべりを始めるなど急速に発達してきます。しかも発達特性として、スロープを上るように徐々にのびるのではなく階段を上がるように、ある時期にはほとんど停滞しているように見えて、ある日突然に何かができるようになったりしますし、いろんなことに興味を持ってきます。時間的にも空間的にも大人と子供は違っていて、あたかも4次元の世界に生きているようなものなのです。

  体の成長は順調ですか
まず、体の成長について、身長の伸びや体重が母子手帳に記されている標準の範囲にあるかどうか気をつけてあげましょう。肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病が子供の頃からすでに兆しが見られる方もおられます。1歳での体重の目安は9~9.5kgですが、極端に体重が重い場合には運動を多めにするなどして肥えすぎに注意しましょう。

 逆に体重の増え方が思わしくない場合は原因を考えたり小児科の先生に相談するようにしましょう。最近は湿疹のお子さんが多く親御さんが自分で「食物アレルギー」と判断して不必要な食物制限をされるケースも見られます。心配であればアレルギーの検査をしてもらって、家族みんなで食事を楽しむ雰囲気を作りたいものです。偏食が強く検査をすると貧血が見つかるお子さんもおられます。

運動の発達はどうですか
運動発達の目安は、9ヶ月までにハイハイ(四つバイ)1歳までに独り立ち、1歳3ヶ月頃までに独り歩きが可能となりますが、体重が大きめの方は遅めになりますし少な目の方は逆に早めになります。
手先の器用さも、どんどん進歩して、スプーンを持って自分で食事をしようとしたり、鉛筆で殴り書きをしたりします。

 子供さんは何にでも興味を持って食器をひっくり返したり失敗をしながら発達していきますから、危険を伴うこと以外はできるだけ機会を作ってあげるようにしましょう。お子さんの興味にあわせておもちゃを選んであげることも発達を促進するために大切ですが、余りにかけ離れたことをさせようとすると逆効果で興味を失ってしまいます。

 筋肉の緊張は運動にとって大切で、緊張が強すぎても弱すぎてもハイハイの仕方や歩き方が変化します。いざったり、手足の突っ張りの左右差が目立つ場合は健診などの時に相談するようにしましょう。

   おしゃべりをしますか
 アーウーといった発声は生後2~3カ月からしますし、9カ月頃になると子音を伴った音節に近いダダとかバブーといった発声が聞かれるようになりますが、意味不明のことが多く個人差も目立ちます。言語は最初はコミュニケーションの手段として発達してきますから、たとえ自分でおしゃべりをしなくても、親御さんの言うことをある程度理解したり、じっとこちらを見つめたり聞いている雰囲気があれば心配ありません。

 言葉の遅れで一番頻度の多いのは単純性言語遅滞と呼ばれるもので全体の発達や聴力は正常で、言葉だけが遅れるもので、左利きの男の子に多いとされています。3歳近くまでほとんどおしゃべりをしませんが、3歳前後になって動物の名前や色などをしゃべり始めると急速に発達して2語文や3語文などの文章を話すようになります。

 核家族化や少子化の影響などで、お子さんが一人で長時間テレビやビデオを見ている場合も多いようですが、言語発達にとっては言葉のやりとりが大切ですから、出来るだけ声をかけてあげるようにしましょう。親御さんはお子さんにとって日本語の先生だと思って、出来るだけはっきりした発音で絵本なども読んであげるようにしましょう。

 まれには、余り視線が合わなかったり、イライラしてじっとしていなかったり、言葉の発達も遅い場合もあります。このようなお子さんでは詳しい発達評価をして、早めに専門的な訓練をする方が良い場合もありますので、かかりつけの小児科に相談するようにしましょう。